連続官能小説　 女友達 (Girlfriend)




　　　　　 第四十四章

　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　白い服の女





「 えっ！・・・」　「・・・うん、いいよ、 真っ暗だから・・・」

俯いたレイは震える声で小さく答えた。



「 ええっ！」

予想していなかった レイの返事に シンジは戸惑った



「・・・・・」

「・・・・・」



二人とも 言葉を捜して　暫らく沈黙が続いた。



「・・・お湯、入れてこようか？・・・」

レイが俯いたまま 口を開いた その声は まだ震えているようだった。



「あっ、いや　俺が入れてくるよ」

　懐中電灯を手に取ると シンジは 足早に浴室へ向かった

まるでその場の息苦しい 空気から 抜け出すように・・・。


〈 カチン！　カチン！　　ポッ！　キュッ　キュッ　　ボッ ！　ジャーッ 〉


温かなお湯が 湯気を上げて 勢いよく 浴槽に流れてゆく


〈 レイのやつ 本気なのか？　あんなに恥かしそうにしてたのに・・・〉

シンジは浴槽を充たしてゆくお湯を眺めながら レイの返事の意味を考えていた。


〈 真っ暗だったら　少しは 恥かしくなくなるのかな？ 〉

　

〈 ガラッ！ 〉

シンジは浴室のガラス窓を開けた

家の外がどうなっているか 確認するように 外を覗いた

雨は小降りになっていた

ひんやりした空気が浴槽の湯気を揺らしながら入って来た

大量に降り続いた雨で外はすっかり涼しくなっているようだった。

時折通る車のヘッドライトが 浴室の窓に光を投げかけている

窓を通り抜けた四角い光の帯が 浴室の壁を右に左に通り過ぎてゆく

レイが思っているほど 『真っ暗』ではなかった。


〈　まっ いいか 真っ暗じゃ何も見えないし　〉


シンジは少しの間 ぼんやりと窓の外を眺めていた。

ダイニングに戻ろうと脱衣場に出ると、

レイが慌てた様子で小走りに駆け寄ってきた

そしてそのままシンジにしがみついた

「 お兄ちゃん！　怖い！ 」

「 どうしたんだ そんなに震えて 」

「 だって テレビに・・・」

「 テレビに？」

「 リビングのテレビに映ってたんだよ　白い服の 女の人が・・・」

「 白い服の 女？ 」

「・・・この間のホラー映画の・・・」

そう言ってレイは体を震わせていた


「何かの見間違いだよ、大丈夫だから」

シンジはレイの肩を優しく引き寄せて 抱きしめた

「じゃあ 一緒に見に行こう 」

「ううん、いい　怖い！」

レイは本当に怖そうに怯えていた


「じゃあ、風呂に入るか？」



「・・・うっ　うん・・・」


「幽霊 さまさま だな」

シンジは小さく呟いた


「えっ 何？ なんて言ったの？」

「何でもないよ、おかげでレイと一緒に風呂に入れるって感謝してたんだよ」

「誰に？」

「もちろん 幽霊にだよ」

シンジは笑った

「どうせ 自分の姿が映っただけだよ」


「えーっ じゃあ あれは私だっていうの？」


「白い服 着てるじゃないか」


「あっ そうか どうりで美人の幽霊だと思った」

レイは笑いながらそう言った



「なに しょってんだよ　　ったく、そんな事言ってたら脱がせるぞっ」

ニヤニヤと笑いながらシンジが尋ねた

「いいよ、自分で脱ぐから 向う向いてて　　でもほんとに怖かったんだよ」

唇を尖らせながら 背中を向けるレイ でもその目は笑っていた


「はいはい、わかったよ」

シンジはドアの前で服を脱ぎ始めた



「おにいちゃん・・・やっぱり 脱がせて・・・」


「えっ！」


レイの消え入るような囁きに シンジは耳を疑った


「新婚さんごっこ・・・するん・・だよね・・・」


「　レイ お前・・・」


ブリーフ一枚になっていた シンジは レイの方へ向き直ると

腰に手を回し引き寄せた


「可愛いやつなんだな お前って」


シンジはそのまま唇を重ねた、舌を差し入れるとレイの舌が絡み付いてきた

「・・んっ」

「・・・んっ ふんっ」

レイの鼻から息が洩れた


〈 ちゅぱ！　ちゅぱ ！ 〉

大きな音を立てて二人はお互いに舌を、唇を弄りあった