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連続官能小説 女友達 (Girlfriend)
第四十章
屋根裏の秘密
「このままずっと こうしていたいよ・・・レイ」
「私も・・・離れたくない・・・」
ベッドの上で二人は抱きあっていた。
「暑くないか?」
抱きしめた腕を少し緩めてシンジがレイに尋ねた。
「うん、ちょっと暑い、お兄ちゃんたら いっぱい汗かいてるね 」
シンジの背中に回した手で汗を撫で回しながら レイはいたずらっぽく囁いた。
「レイもだよ!」
レイの背中を撫で回しながら 少しあきれたように、でも愛しそうにシンジが答えた。
「だって、お兄ちゃんのせいだもん・・・」
レイは少し はにかんだように 小さな声で呟いた。
「エアコン 止まってるみたいだ 」
シンジはエアコンのリモコンを探してまわりを見渡した。
「真っ暗だ、時計も止まってる 」
枕もとのデジタル時計を手にとって部屋中を見渡した。
ベッドから降りてドアの横にある部屋の照明のスイッチを入れてみたが明かりは点かなかった。
「外 真っ暗だね 」
レイは手で胸を隠しながらベッドから身を起こすと
カーテンで首から下を隠しながら 恐る恐る窓の外を見た。
いつもとは随分違っていた、隣近所の家の明かりも一つも点いていなかったのだ。
シンジは机の上の携帯電話を手に取り 表示されたその時刻を見るなり驚いて声を上げた。
「ヤバッ! もう母さんが帰ってくる!」
携帯電話の時計は母ミサトの帰宅時間が迫っている事を伝えていた。
「とにかく服を着よう! 」
ベッドの周りに脱ぎ散らかした服と下着を拾いながら慌てた声でシンジが言った。
急いで着ようとしたが、暗い部屋で下着の裏表を確かめながら
しかも汗ばんだ肌では どうしてもモタモタしてしまう。
「焦ったー」
「ビックリしたね」
やっと服を着た二人は 再びベッドの上に並んで腰を降ろした
二人の顔に笑みが戻った。
もう一度時計を見ようとシンジは携帯電話を手に取った
「センターにメールが来てる、母さんからだ 」
〈 ピッ! 〉
「・・・雷で・・・母さん遅くなるって、神戸のおじさんと一緒みたいだな・・・
先に食べておいてね・・・か 」
「えっ! おじさんと!・・・遅くなるって?」
「停電してるんだな・・・でも いつからだろう?」
「テレビにしてみようよ」
シンジの腕を掴みながら携帯電話の画面を覗き込んでレイが提案した。
「ああ、そうだな・・・ワンセグチューナーっと・・・」
〈 ピッ! 〉
「・・・・大変な事になってたんだ・・・」
「・・・電車も止まってるんだね・・・」
「・・・信号も消えてる・・・」
二人とも固唾を飲んで携帯電話のテレビニュースを見ていた。
「復旧のめどはたっていません・・・か、とりあえず下に下りよう・・・」
「そうだね、でも真っ暗だね」
「懐中電灯を出さないと」
〈 ガンッ! 〉
〈バサバサ!〉
「イタッ! 痛ーい! 何これ?」
レイは部屋ベッドの傍に置かれていた本に気が付かず つまずいてしまったのだった。
「あっ! ごめん! 今日、図書館で借りてきたんだ 」
「こんなに!」
「ああ、気晴らしに読もうと思ってさ 前から借りようと思ってたんだ」
「これ全部 マンガ?」
「ああ 面白いぜ 結構気に入ってるんだ 」
そう言いながら シンジは倒れたコミック本を机の上に積み上げた。
「とりあえず これで・・っと」
携帯電話のランプを点けてシンジはレイの手を取った。
シンジが足元を照らしながら二人は一階のダイニングに下りた。
「懐中電灯、何処だったっけ?」
「電話のところに一つあったと思ったけど」
シンジが電話の置かれている台の引出しから懐中電灯を取り出した。
「あった、あった でもこれだけじゃ 何にも出来ないな」
〈 カチャッ 〉
受話器を手にとって耳に当て 色々とボタンを押して暫らく待っていたが
「だめだ 何にも聞こえない」
そう言うと諦めてもとへ戻した。
〈 カチャッ 〉
「電話も駄目なのね」
「あっ、そうだ、確かキャンプの時に使ってた電池のランタンがあったよな?」
「随分前だよ、私が小学生の時だもん」
「まだあるとしたら?」
「たぶん 屋根裏?」
「見て来よう」
「えーっ 屋根裏に行くの? 怖いよ!」
「大丈夫だよ お化けなんか出ないよ」
そう言って笑うシンジに
「そうじゃないの・・・小さい時にお兄ちゃんと屋根裏で遊んでたら お母さんに・・・」
「ああ ひどく叱られたな あの時は、俺もよく覚えてるよ、でもどうして叱られたのか
今でもよく解らないんだ・・・とにかくランタンを探そう」
そう言うとシンジはダイニングを出て階段を上がっていった。
「待ってよ お兄ちゃん!」
慌ててレイも後ろに続いた。
二階の廊下の天井に屋根裏への扉がある、シンジは廊下の突き当たりから
カギ型の金具が付いた長い棒を取り出し懐中電灯をレイに手渡した。
「そこのロックのところ、 うん それを照らして」
そう言うと扉の金具を回してロックを外し扉を開けた
そして扉に取り付けてある折畳みのハシゴを引き伸ばして廊下の床へと降ろした。
「これでよしっと」
「ホントに上がるの?」
少し心配そうにレイが尋ねた。
「大丈夫だよ お化けなんかいないって」
「そうじゃなくて・・・」
「落ちて怪我しないでよ、お兄ちゃん」
シンジに懐中電灯を渡しながら呟いた。
「心配性だなあ レイは、きっと母さんに似たんだな」
そう言って笑ったシンジの顔色が変わった、ただ暗くてレイには気付かれずに済んだが。
〈 レイは母さん似か・・・やっぱり俺が? 〉
懐中電灯の明かりを頼りにシンジは屋根裏へ上がっていった。
「えーっと」
周りをぐるっと照らしながら 目を凝らしてみた。
「キャンプ用品 キャンプ用品っと」
奥の隅の方でバーベキューセットや折畳みテーブル テントやタープ 寝袋などが積み重ねてあった。
ガソリン式の2バーナーやランタンと一緒に電池式のランタンが置かれていた。
それを手に取ってハシゴのところに置くと シンジは再び何かを探し始めた。
「なあ レイ 」
「なあにー? あったー?」
「俺達ここで何して遊んでたんだっけ?」
「母さんに叱られた あの時?」
「ああ、 何やってたんだっけ」
「確か・・・お兄ちゃんが何かの箱を出してきて・・・」
「そうだ! 何かダンボール箱に入ってて・・・」
「そうそう、寝袋を広げてさあ、その上に何か並べてたんだよ・・・本? ノート?」
〈 ・・・ハッ! そうだっ!確か写真もあったぞ・・・
それを見つければ何か解るはず・・・だ、
あの母さんの怒りよう、只事じゃないはずなんだ
あの時 そうとは知らずに 何か母さんが俺達に秘密にして隠してた物を・・・ 〉
シンジは屋根裏の一番奥の隅から何かを探し始めた。
「お兄ちゃん~、まだ見つからない~?」
「あ、ちょっと待って もう降りる」
〈 駄目だ懐中電灯じゃ暗すぎる 〉
シンジは諦めて停電が復旧するのを待つことにした。
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